福祉タクシーは仕事の性質上、介護タクシーと混同されることがあります。自力での歩行が困難な人を送迎する点は共通していますが、利用客への介助作業の有無が介護タクシーとの大きな違いと言えるでしょう。
福祉タクシーのドライバーは利用客への介助作業はできません。乗降の際も肩を支えたり手をつなぐなど、体に触れることはできないとされています。これは利用客の体に触れる行為は介助作業の一環であり、介護関係の資格が必要になるためです。福祉タクシーのドライバーとして働くには最低限、自動車の二種免許が必要になりますが、介護関係の資格は必須ではありません。そのため、資格を持っていないドライバーは声をかけることはできても体に触れることは不可能です。
福祉タクシーで使われる車両の中には車いす用のリフトが装備されている物があります。車いすに乗ったまま車両の乗降ができますが、リフトを操作する際もドライバーは利用客の体に触れてはいけません。また、利用客の代理で処方された薬を受け取るのも福祉タクシーのドライバーにはできない仕事です。
介護タクシーと比較するとできることが少ないイメージがありますが、その反面、どのような場所でも送迎ができる利点があります。介護タクシーは医療や介護など利用目的が制限されていますが、福祉タクシーはそのような制限はありません。買い物や旅行など、一般的なタクシーと同じ目的で利用することができます。そのため、福祉タクシーのドライバーは長距離運転に従事することも珍しくありません。